日勤のみが多く、生活スタイルに合わせて雇用形態を選べるのが最大のメリット
看護師の求人で特に人気が高いのが、真空管による採血と血圧測定を中心に、視力、聴力などの各種測定、問診、心電図介助などを行う健康診断のお仕事です。
官公庁・一般企業・事業所・学校などでは健康診断が年に1〜2回程度行われますので、健診業務における看護師の需要は必ずあります。特に春と秋は健診が集中するシーズンですので、複数の短期・単発バイトを上手にこなせれば、短期間で予想以上にお仕事をすることも可能です。
では、多くの看護師の方が健診のお仕事を希望するのはどうしてでしょうか?その代表的な理由としては、以下の3つが挙げられます。
様々な症状を訴えて来院する患者さんの容態から目が離せない急性期の病院や非常に忙しいクリニックと違い、健診のお仕事は健康な方を対象に行うため、精神的にゆとりを持った状態でお仕事に臨むことができます。
日勤のみの仕事も多く、土日が休み、残業も比較的少ないため、家族と過ごす時間や子育ての時間などを犠牲にする必要がなく、プライベートを大切にすることができます。
フルタイム勤務の常勤(正職員)、短期のパート、単発のアルバイトと雇用形態が豊富なので、バリバリ働きたい方はもちろん、出産や育児でブランクのある方の復職の第一歩としたい方、あるいは扶養範囲内で働きたい方など、生活スタイルに合った働き方を選ぶことができます。
特に単発のアルバイトは、空いた時間にお仕事をして、子供の教育費や住宅ローンの返済などに充てたいというママさん看護師がたくさん活躍しています。気になる時給は1500円〜1800円くらいですので、繁忙期は週2、3回程度のお仕事をこなすだけでも結構な金額になります( v ̄▽ ̄)
長女の出産を機に総合病院を退職し、扶養範囲内でバイトをしているナースの感想
前職は公立の総合病院で、オペが中心の外科病棟に勤務していましたが、33歳で長女を妊娠したときに退職をしました。1年半ほどは育児オンリーの生活でしたが、この4年は健診やデイサービスでのバイトを中心に扶養内に収まる範囲でマイペースで頑張っています。
健診バイトに応募してくる方は、出産や育児で退職、あるいは休職している30〜40歳代のママさんナースが圧倒的に多いですね。
退職組の皆さんは、育児が少し落ち着いてきたので、復職研修を受けたり、病院の見学をしたりして復職に向けた活動を行うなかでバイトをはじめた人が半分くらい。
もう半数は、夜勤、急性期病棟でのプレッシャー、人間関係のストレスなどで疲労困憊になり、結婚を機に「もう常勤は勘弁!」と復職の意思は全くないものの、せっかくの国家資格だから有効に活用して、家計の足しにしたいと思っている方です。
一時的に休職している人は、「看護師として身に着けたスキルや勘をブランク(半年〜1年間くらい)で鈍らせたくない」、という目的で健診バイトを選んでいるようです。私が話をした30代前半のナースは、前職の医療センターに短時間勤務という形でカムバックをして、慣れたら以前のように常勤に戻る予定だそうです。短時間勤務の間も生活費のプラスαとして、今の健診バイトをダブルワークで続けてみたいとも言ってましたね。
健診の"花形"的なお仕事はやはり採血ですが、ブランクが長い方は採血への不安が足かせとなって、お仕事への応募を躊躇してしまう方もいるようです。
しかし、健診の繁忙期に一定回数以上のお仕事を希望する方には、業務の流れ、手技の確認、採血などの事前研修が行われますので、そんなに心配することはありません。私もシリコン製皮膚で作られた採血シミュレーター相手に挌闘(?)した成果もあってか、初日で30人ほど採血ができました。
それでも「やっぱり採血は駄目だわ!」という場合は、血圧測定、心電図の介助、視力検査、データ入力、受付業務の補助などのお仕事もありますので、そちらをチャレンジされてみてはいかがでしょうか。
前述のように、健診バイトは育児中のママさんが多いため、お仕事当日になって「子供が熱を出した!」などの突発的な理由でキャンセルせざるを得ないケースもも考えられます。スタッフの数がギリギリだと、このような状況が発生した場合、当日の健診業務に支障をきたす恐れがあるため、予め人数に余裕を持たせてナースの募集をしているところが多いです。
初対面の方がほとんどですが、皆さんの環境が似ているので、「子育てあるあるネタ」のようなちょっとした会話で簡単に打ち解けますし、人間関係がフレッシュな分、看護師の派閥やいじめ体質のようなものは全然ない点もバイト勤務のいいところだと思います。
メタボリックシンドロームに注目した特定健診の導入で高まるニーズ
学校や企業などで行われる健診(健康診断)は、診察や各種の検査を通じて、自覚症状のない病気を早期発見したり、発症が予測される病気の危険因子がないかを調べるために行われるものです。
似た用語に「検診」がありますが、こちらは特定の病気の有無、例えば「がん」を見つけるためだけに行われる検査を指しており、乳がん、大腸がん、胃がんの検診などが有名です。
近年、日本国民の平均寿命は男女ともに、世界でも高い水準を誇っていますが、その一方、急激な高齢化や食生活の欧米化などを背景に、糖尿病、循環器疾患、がんなどの生活習慣病の患者数は増加の一途を辿っているという大きな問題があります。
厚生労働省が発表している「人口動態統計」によると、日本人の死因の約3分の2ががん、循環器疾患、脳卒中などの生活習慣病が占めており、また、国民医療費の約3分の1が生活習慣病に費やされています。
心臓病や脳卒中は、動脈硬化が進行して起こりますが、動脈硬化は自覚がないままに進行していくため、その危険因子である高血圧、高脂血症、糖尿病を早期発見するために健診は非常に重要な役割を担っています。
近年は、この心臓病や脳卒中に関連して、「メタボリックシンドローム」が注目されています。メタボリックシンドロームとは内臓脂肪型肥満を原因とした高血糖、脂質異常、高血圧のリスクが重なっている状態です。これら一つ一つは、生命を脅かすほど重大な疾患ではありませんが、それらが重複すると、心筋梗塞や狭心症などの心臓病、脳卒中の発症リスクが大きくなります。
厚生労働省の「国民・栄養調査」によると、成人の約1300万人がメタボリックシンドロームに該当し、予備軍も約1500万人と推定されています。なかでも40〜74歳の中高年代で見ると、男性では2人に1人、女性では5人に1人が有病もしくは予備軍となっています。
そこで導入されたのが、40〜74歳の国民(医療保険加入者とその扶養家族)を対象に、年1回実施される「特定健康診査(特定健診)」です。特定健診では、特にメタボリックシンドロームとその予備軍の人を見つけることを重視しており、リスクが発見された場合には、その段階に応じて、生活習慣病への進行を予防するための保健指導が行われます。