患者さんと看護師が安全に採血するための、真空管採血時のポイント
真空管採血が普及した背景には、相次ぐ医療従事者の針刺し事故を防止するという事情があります。真空管採血を行うことで、採血管に分注する際の針刺し事故の回避や、血液に汚染される機会を回避することができます。
しかし、真空管採血の使用が患者さんに対する感染リスクにつながることが指摘されるようなり、2003年には厚生労働省から「真空管採血時の注意点について」の通達がなされました。内容は採血終了時のバックフローが生じることで、患者さんに感染リスクが生じるというものでした。
以前は、採血管は滅菌されていなかったので、逆流による感染リスクがありましたが、この通達を受けて、現在では滅菌した採血管を使用するようになっています。そして、2005年は使用上の注意についての追加通達があり、現在では採血時の手技の周知徹底を図ることで、、シリンジ採血と比較して医療従事者と患者さんへの感染リスクは減少しています。
医療従事者と患者さんが安全に採血するためのポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
採血ホルダーもディスポーサブルにする…採血ホルダーに血液が付着することで生じる感染リスクを避けるためです。消毒することも可能ですが、消毒液の管理方法によっては、濃度にバラつきができる可能性が高く、確実な消毒効果を得ることができないケースも考えられます。
複数の真空採血管に採取する際、採血管の順序を間違えない…血清用プレーン→凝固検査→ヘパリン→EDTA→解糖阻止剤→その他が正しい順序です。
真空採血管は室温に戻してから使用する…採血管内が低温の影響で必要以上に陰圧になっているため、そのまま使用すると溶血の原因となります。
患者さんにアームダウンの姿勢をとってもらう…バックフローを予防するためです。
検体採取が終了してから、ホルダーを外し、駆血帯を外す…ホルダーから採血管を外ないで駆血帯を外すとバックフローが生じてしまいます。
血管が細い、脱水などの原因で血管が虚脱している、あるいは大量の採血が必要な場合など真空管採血を行うことが困難なケースもあります。そのときはシリンジ採血を行います。いずれにしても、感染リスクを加味し、医療従事者はスタンダードプリコーションを徹底するとともに、適切な手技が求められます。