駆血帯を強く巻きすぎると血液流入が停止し、緩いと採血に時間がかかります
駆血帯には、ゴムバンドやチューブ、血圧計などに使用されるカフ、ベルクロタイプなど様々なものがありますが、近年は皮膚への優しさから、幅のあるテープ状(非ラテックス)のものが好まれる傾向にあります。
採血部位の5〜10センチ上部に駆血帯を巻くようにします。あまり強く巻くと血液流入が停止し、怒張が不十分になりますし、一方であまり緩いと、血管の怒張が不十分になったり、採血に時間がかかる恐れがあります。
駆血帯を外すタイミングは、まず真空採血の場合、最後の採血管をホルダーから抜いた後に外します。その後、採血針を血管から抜きます。駆血帯を最後まで巻いておくと、途中で採血針のゴムチップ部分に駆血で上昇した静脈圧が加わるため、血液が漏れて、ホルダーを汚染するリスクがあります。
針を穿刺し、静脈が確保できた直後にはずす方法もありますが、採血量の確保が難しくなったり、時間がかかるなどのデメリットがあり患者さんの負担が増大することになるため、現在では行われていません。
採血管をホルダーに差し込んだ状態で駆血帯を外すことは、静脈圧低下により血管への逆流が起こる可能性があります。なお、滅菌採血管を使用した際にはこの問題はありません。
逆流の防止は、採血管に血液が流入している途中で駆血帯を外すことでも可能ですが、タイミングが難しいので避けましょう。シリンジ採血の場合、こうした逆流の問題はないため、採血終了後、針を抜く前に駆血帯を外します。針を抜いてから外すと、うっ滞した静脈血が漏れ出し、血腫ができる可能性が高くなります。
長時間にわたって駆血帯を巻いていると、うっ血したり、血液の濃縮が起こり検査数値に変動が生じる可能性が出てくるため、駆血は1分以内を目安とします。